父親が支払いに応じない場合

 中絶を行う場合、妊娠するための性行為を行った相手の同意が必要になります。
 そして同意のもとに行うわけですから、中絶費用は二人で支払ってしかるべきです。
 それでは実際に中絶費用や慰謝料を請求することは可能なのでしょうか?

 

お互いに同意のもと中絶費用を折半する場合

 妊娠が発覚して、お互いが話し合い、中絶費用もお互いの同意のもとで負担額を決めた場合、慰謝料を請求することはできません。
 これは中絶をすることに対する慰謝料という考え方がそもそもないためです。

 

 お互いが同意のもとで性行為を行い、同意のもとで中絶するのですからどちらが悪いということはなく、お互い様ということになります。

 

中絶費用や慰謝料を請求できるケース

 お互いの同意ではなく強姦などの場合は、まず中絶にかかる費用はすべて公費で補助されます。
(参考)中絶費用は健康保険の適用対象になる?一部を除き全額自己負担が原則ページ参照

 

 そのうえで精神的・肉体的苦痛を受けたことに対する慰謝料の請求を行うことが出来ます。

 

 性行為が同意であったとして、相手が中絶費用を払わないとしたときには、中絶費用の請求が可能になります。
 父親となる男性(彼氏など)が支払いに応じないケースがそうですね。
(参考)赤ちゃんおろす費用を彼氏が支払わない場合
 すべての中絶費用を請求しても折半となることがほとんどですが、相手が失踪したわけでなければ、中絶費用の請求は可能です。

 

 そして相手が中絶費用を出さないとした場合は、精神的苦痛を受けた、誠意のない行動を取られたということで慰謝料の請求ができます。
 金額はそれほど大きくなりませんが、弁護士への依頼費ぐらいの請求は可能です。

 

 また相手が電話に出ない、身を隠すなどをした場合は、さらに高額な慰謝料の請求ができることになります。
 行動に悪意があればあるほど慰謝料の金額が高くなる傾向にあります。

 

 いずれにしても中絶費用や慰謝料の請求は個人で行うことが難しいため、弁護士に相談するようにしましょう。
 第三者の弁護士が間に入ることでスムーズに中絶費用や慰謝料の請求が可能になります。

 

示談が決まったら公正証書の発行をする

 弁護士が間に入って示談が成立したとしても、それだけなら口約束とさほど変わりません。

 

 必ず公正証書を作成しましょう。
 まずは弁護士に示談内容を示談書にしてもらい、それを持って公正役場へ行き、公正証書の作成を依頼しましょう。

 

 示談書だけでは法的には効力がないのですが、公正証書の場合は法的な効力を持つ書類になります。
 示談で決まった費用が払われない場合は強制執行などが可能になり、間違いなく彼氏に費用の負担をしてもらえることになります。

 

 本来であればきちんと話し合いによって、お互いの力で中絶費用についても決めることですが、妊娠を聞いた途端に態度が変わる男性もいるため、話し合いをすることすらできないことがあります。

 

 そんなときは自分だけで何とかしようとするのではなく、弁護士の力を借りて、自分1人だけが苦しむことがないようにしてください。